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風餐記

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『赤色エレジー』
本棚に一冊のフォークソング譜面集がある。中学生のとき、ギターに夢中だった私に、叔父が呉れたもので、知らない曲ばかりだったが、何度も繰返して譜を読んでいるうちに、とうとうページがばらばらになってしまった..
(2011/03/29 22:55)

奥州
奥州は白河の関より入る。古来より、黄金と名馬を朝廷に献じたが、都の人々にとっては、それよりも、伝説と歌枕とによって、内側からぼんやりと照らし出されるように知られた、遠く謎の多い土地であった。 平..
(2011/03/23 14:00)

『太平洋の奇跡』を観て
私は谷崎潤一郎の『細雪』を読みながら、映画『太平洋の奇跡』の上映を待った。『細雪』の日本人は友禅を纏い嵐山に花見をし、神戸港に洋行の客船を見送り、オリエンタルホテルで見合いをし、歌舞伎座で六代目菊五郎..
(2011/03/08 16:23)

平等に就いて
路地は(中略)今も昔と變りなく細民の棲息する處、日の當つた表通からは見る事の出来ない種々なる生活が潜みかくれてゐる。侘住居の果敢なさもある。隠棲の平和もある。失敗と挫折と窮迫との最終の報酬なる怠惰と無..
(2011/03/01 14:08)

獄中所感
私は二二六事件を殊更に美化しようとは思わないけれども、だからと云って、殊更に醜く考えようとも思わない。只、七十五年を経た今日でも、この季節になると事件が人々の口吻に上るのを見て、日本人の感情に触れる何..
(2011/02/26 9:10)

上水道と下水道
去年の『憂国忌』で印象深い話があった。──もっとも以下は、私の曖昧な記憶に基づいていることを最初に弁明して置く──それは登壇された井尻千男氏と遠藤浩一氏の、次のやり取りの中でのこと。 井尻氏曰く..
(2011/02/18 15:58)

近代の奔流
日本人が自国に流入した「近代」の奔流をどのように経験したかというイメージを探していたところ、谷崎潤一郎の『細雪』にあった。ただし、この「近代」の正体について、私の浅学の及ばぬところであろうし、ここでは..
(2011/02/17 12:06)

「ピアノdeシネマ」
今年の紀元節は荒天の一日であった。気象庁の予報したような積雪になるとは思われなかったが、それでも朝から身を斬るような冷たい風に吹付けられた霙混じりの雪が窓を打った。このような季節に建国の偉業を成し遂げ..
(2011/02/12 19:22)

朝香宮邸
私は、古い建物を訪れて、そこに暮した人々の気配が微かに空気を揺らして昔日の思い出を繰返し演じながら、しかもそれが真昼の花園のように楽しげであるとき、つくづく建築物とは夢の器であることを思う。そして朝香..
(2011/02/06 12:04)

歳晩の憂鬱
私は部屋に一人で籠っている。何故と云って歳晩が憂鬱なのだ。街の賑わい、人々の浮いた気分、大売り出しの仰々しさ、みんな一緒の年越し蕎麦、みんな一緒の除夜の鐘。この何もかも大波にさらわれるような気分が滅入..
(2010/12/31 22:48) コメント(2)

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