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日本がアブナイ!
設計書類偽造問題・・・何でも「官から民へ」にするのはアブナイ!(3) 

<(2)の続きになります。>

 今回の検査機関の問題点のうち、建築確認申請書類の不備の発見という面に関して
言えば、私は、官の方が今回の建築確認申請の書類不備は見つけやすかったのでは
ないかと思っている。(もしかしたら、H市役所は見逃してしまったかも知れないのだが。)
 というのも、役所というのは、概して杓子定規で融通がきかず、また特に書類の形式
的な不備を嫌う所であると思うからだ。これは上司や担当官の姿勢にも左右されるとこ
ろはあるが、部署や人によっては非常に細かい記入漏れや誤字までチェックする。
 官は基本的にミスを好まない。特に書類などの外形的なところに現われる問題や
ミスは残しておきたくない。これは、官の性格のようなものだと思う。
 それゆえ、省令で決められた認識番号や認定書などはチェックする可能性が高い
ように思うのである。(ただし、その分、審査にも時間はかかってしまうが。)
 そして、もし不備があったら、民間のようには融通をきかせてくれないことが多い
ように思う。おそらく不備を残したまま申請書を受理するということはしないだろう。
あまり何枚も不備があるようだと、中身まで精査されてしまうかも知れない。

<ちなみにTVで、ある建築士が、もし自分がミスを犯していたら、それを見つけて
欲しいので、時間がかかっても地公体に申請するようにしていると言っていた。一度、
民間の検査機関に申請したら、ほとんどまともにチェックされていないのがわかり、
このままではミスがあっても、そのまま建築されてしまうと心配になったのだそうだ>

 民営化や民間委託をするメリットの一つとして、市場原理による自由競争がサービス
を向上させるということが挙げられる。
 建築確認制度の本来の意義から言えば、一番重要なサービスは、申請書類を適正に審査
して、もし違法や問題になる点があれば見つけて指摘してくれることなのではないかと
考える。もし違法性or問題を残したまま、その図面や計算等を基に建築をしてしまったら
危険であるし、損失も大きいからである。

 今回の場合は、耐震強度に関する安全性が問題になったわけだが、あとから違法建築の
疑いが出た場合には建築工事を一時停止されて調査をされることもあるし、違法性や問題
が判明した場合には、建築工事を中止したり、建物を解体したりしなければならなくなる
こともある。建築主や関連業者にとっては、建築工事の停滞や中止、ましてや建物の解体
は時間や労力のみならず金銭的にも大きな損失を生じさせることは言うまでもない。
 だから、本当の本当は、多少時間がかかっても、しっかりと建築確認の申請書類をチェ
ックしてもらえる方が有難いことであり、それが一番重要なサービスになるはずなのだ。
 そして、官と民が並存するにしても、全て民が行なうにしても、どこが一番きちんと
(できれば早めに)建築確認をしてくれるか、という観点から競争が行なわれるなら、
理想的なのかも知れないと思う。

 だが、現実の世界では、民間の検査機関に求められるサービスは、安全性よりも、むし
ろスピードと効率(融通をきかせてくれること)になってしまっている部分が大きい。
そして民間の検査機関は、スピードと効率の面で競争することを余儀なくされてしまい、
その結果、本来、重要であるはずの危険性やその他の問題を防止するためのチェックを
するというサービスの機能が低下することにつながっているのではないかと思われる。
ある意味で、本末転倒の状態になっているのである。

< つづきは ↓ More をクリック>

<まだ認識番号等の見逃しが原因だったかはわからないのだが、さらに地公体の建築
確認を通った強度不足の建物が発覚しているようだ。それでは、このブログの記事を
書いている私の立つ瀬がないじゃ〜ん、とボヤきつつもつづきをアップしてみる。>

 仮に、建築確認やその後の検査で「何かチョットおかしい」と思うことがあったと
しよう。本来ならその時点で(場合によっては審査や工事を一時ストップして)その
件を精査し、問題や違法性があるとわかれば、申請は受理しないように、もし既に
確認済みの場合は取り消しをし、工事も中止させなければならない。(民間の機関の
場合は、地公体に報告をして各手続きや処分をしてもらう。)
 
 私は民間の検査機関には、粛々とこのような対応をとって行くことは、容易ではない
ように思う。建築確認だったら、相手と連絡をとって修正させたりすることもあるだ
ろうが、あまり細かいことを指摘しては嫌がられると思って遠慮することもあるだろう。
また、建築が始まってから「おかしいかも」と気付いても、それを指摘したり、地公体
に報告をしたりするのは、かなり勇気がいるように思うのだ。
 下手に工事を停止して調査などを行なうことになったら、関係者にとって経済的損失
も大きいし、かなり気分を害すかも知れない。(もし調査の結果、問題なしということ
に終われば尚更だ。)ましてや、問題が見つかって工事中止になってしまったら、それ
は本来は適正な職務を行なって評価されるべきことなのだが、おそらく検査機関の上部
は渋い顔をすることであろう。
 申請書類の細かい部分までチェックすることはもちろん、工事の停止、中止などと
いう話にでもなれば、そのような風評はすぐ業界内に広まって「あの検査機関は使い
にくい」ということになりかねない。

 民間の検査機関の数は、都市部を中心に増加しており、いまやマンション、商業ビル
などの商業的な建築の半数以上が、地公体ではなく、民間の機関を利用しているという。
検査機関同士の競争が厳しくなっているのだ。バックに建築、建設会社などがついて
いて、安定した仕事量を確保できるところはまだいいが、そうでない所は顧客確保の
ための営業活動やサービスも大変らしい。ムリな要求を強いられる時もあるときく。
 姉歯氏は「仕事を他に回すと言われて生活のためにやった」と言っていたそうだが、
それは検査機関にも考えられる話である。法を犯さないまでも、あえてコトを荒立てた
りはしたくない、不評は買いたくないというのが本音であろう。

<姉歯氏はERIは検査が厳しいので、イーホームズに替えたとも言っていたようだが。
思えばERIはいくつもの大手の建築メーカーが資本や人を出している所なので、ある
程度、安定した仕事量を確保できるのかも知れない。そうであれば、部外者&小さな会社
の建物の審査は、それなりに毅然と適正に行ないやすいのかも知れない。>

 建築、建設会社などと関係の深い機関の場合は、公にならない形で違法性や問題点を
指摘して、内々で修正や解決を試みるかも知れず、それもそれで危ないことである。
 実は、今回この件に関して、色々なブログや記事を読んでいて「やっぱりな〜」と
思ったことがあった。
 建築確認申請の民営委託をするかどうかという話が出た時、公正中立性が必要な業務
だけに、反対の声も少なくなかったらしい。だが、民間の建築、建設などに関わる会社
がかなりアレコレとやって、何とか実現にこぎつけたというのだ。<それは、自分たち
の影響力を及ぼせる機関で検査した方が、スピードや融通の面で便利だし、官にお金を
払うより、関係機関でお金を回した方が得策であろう。>
 また近時、元・国土庁長官で、自民党で住宅土地調査会長を務めている伊藤公介衆院
議員が、ヒューザーの小島社長と共に国交省に交渉に行ったとか、イーホームズが同議員
に政治献金をしていたとか、何だかいかにもドロドロの建築業界体質を示すようなニュー
スも流れている。

 いずれにせよ、ここで一番問題なのは、民間の検査機関の多くは、建築業界グループの
方と関係が深いということである。
 それがデベロッパーのような建築主であれ、建設会社や設計関係者であれ、彼らはそち
ら側のグループの関係者から仕事を受ける立場にあり、利害関係が重なってしまう部分が
大きいということである。そして、このグループの関係者から嫌われれば、会社としては
成り立たなくなってしまうのである。

 その点、地公体は、基本的には建築グループとは利害関係を持っていない。全く癒着
がないとは言わないが、建築グループが地公体の確認や検査を嫌い、民間の検査機関を
何とか作りたいと思ったぐらい、時には「うざい」目の上のタンコブみたいな存在にも
なっていたのではないかと思われる。
 あそこの地公体はうるさいから使いたくないと思われても、官だけが建築確認を行なっ
ていた時代であれば、何の不利益もない。どうしたって建物を建築する場所の地公体に
確認申請をするしかないので、他の機関に乗り替えることは不可能だったからである。

 そして、もし申請書類や建物が「チョットおかしい」と思った場合、やはり官の方が
それを指摘&調査したり、工事の停止や中止をしたりしやすいように思える。公務員に
とっては、自分たちの関わることで問題や違法性が生じることは、ある種の恥なので
ある。(まさに今、いくつかの地公体がそうなっているだろうが)、もしあとから違法
建築であることが判明したら、大問題になる。当然、担当をした建築主事等の検査員や
その上司なども責任を追及され、何らかの処分を受ける可能性も高いであろう。仮に
正義感や公共性の観点が乏しくとも、自己保身のためにも、ミスは犯してはならないの
である。<ちなみに、もし国や地公体が国家賠償法などで責任を問われた場合、国や
地公体は故意や重過失のあった公務員には求償(弁償を請求)できるのである。>
 それゆえ、もし「おかしい」と思い調査をしたり、その結果、建築確認申請を取り
消したり工事を中止ししたりすることになったとした場合、上司は「よくやった」と
評価する可能性の方が高いように思われる。

<ついでに言えば、もしこの偽造を官が見過ごした場合の方が、住民にとっても、
直接、国や地公体に責任や対処が求めやすい分、有利になると思われる。国や地公体に
は民間の検査機関を監督指導する立場にあり、民間が建築確認を行なった場合も、その
書類の概要が所管の地公体に提出されチェックを受けることになっている。それゆえ、
民間の検査機関が行なった建築確認行為につき、国や地公体を訴えることはできるとの
判例はあるのだが、今回のケースで地公体のチェックの過失を問えるかはビミョ〜な
ところであると思われる。>

 ここで、私が一番言いたいことは、審査や検査というのは、それを依頼する側の関係
者とは、一線を画すことができる組織や人が行なった方が適正に行なわれやすいという
ことだ。相手の違法性や問題点を指摘するという行為は、双方の利害が相反するおそれ
のあるものだからである。
 できるだけ早くスムーズに建築確認申請を通さなければと思って審査に当たる者と、
何か問題はないか、違法性はないかと思って審査に当たる者では、自づと書類や建物の
見方も変わって来るだろう。
 
 訴訟法には、裁判官の忌避制度と言うのがある。たとえば、その裁判官が相手の関係者
であり、公正な裁判ができないとの疑いがあれば、他の裁判官に替えてもらえるという
ような仕組みである。違法性を判断するには、第三者が望ましいという実例であると思う。

       <つづく> THANKS

by mew-run7
(2005/11/26 22:05)
政治・社会一般
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