太陽がくれた季節

■〔映画鑑賞メモVol.14〕『父親たちの星条旗』(2006/イーストウッド)& more...
1.『サラバンド』(2003/ベルイマン)鑑賞プチ・メモ≪→こちら≫
2.『父親たちの星条旗』(2006/イーストウッド)鑑賞メモ≪→こちら≫
3.『百年恋歌』(2005/ホウ・シャオシェン)鑑賞前メモ≪→こちら≫
おはようございます、ダーリン/Oh-Wellです。
11月4日の朝を迎えました。^^
11月3日の「文化の日」を含むこの3連休、皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
さて、この3連休を使って、紅葉見物〔◆全国紅葉名所カタログ2006〜Walkerplus[外部リンク]〕に出かけられている方、今日、明日にお出かけ予定の方も多いことかと思います。
僕の住む東京や東京近郊の紅葉の見頃はこの11月の中頃以降のようですから、わが家では、その頃に適当なところへ紅葉見物にでも出かけて来ようかと思っています。出来れば、温泉なども兼ねて...
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さて、私め、一週間ぶりの更新をしようと思いながらも、いざ、連休に入ってしまえばのんびりとするばかり…^^
そう、先週の金、土、日には、それぞれ、『楽日』(2003/ツァイ・ミンリャン)、『父親たちの星条旗』(2006/イーストウッド)、『サラバンド』(2003/ベルイマン)の鑑賞と相成った訳ですが、それらの鑑賞の余韻でもって、この一週間ほどは良い意味合いで満腹状態になっているがゆえに、「鑑賞メモ」等を書けないでいる部分もありましたねぇ…。(⇒※3本の映画の鑑賞前メモは、こちら!)
これら3本の映画は、僕に取って、実に、三者三様の映画ぶり、オリジナリティーを持った映画たちでした。それぞれがそれぞれに完結した魅惑的な映画時間を持っていて、個々に異なる余韻を残してくれました。そして、僕に取って、一度の鑑賞では勿体無い映画たちのようにも思えています。
・・・そう、『サラバンド』、『父親たちの星条旗』の双方にあっては、作品中に於いて「写真」と云うものが大きな役割を担(にな)っていることなども(―たまたま、これらの映画の鑑賞の前に、当ブログの前々回で「映画中に於ける印象深い写真」と冠したエントリーをしていることとも相俟って…)僕に取って強く印象に残るところの一つと為っています。
―という訳で、今回は、『サラバンド』、『父親たちの星条旗』についての鑑賞メモを残しておきます。
●●『サラバンド』に於ける写真の覚え書き
まず、『サラバンド』(2003/ベルイマン)[外部リンク]は、映画の主人公、語り手であるマリアン(リヴ・ウルマン[外部リンク])が一枚の写真を観客たちに示す場面から始まる映画であり、

また、今、詳細に触れることは避けますが、劇中、
アンナという女性がモノクロの写真のみで示されて行きます。この、アンナの穏やかで美しい面差し、また、その面差しが映画中に於いて想起させて行くキャラクター性は、
マリアンを始めとする主だった登場人物4人と並んで、僕の中に忘れがたい余韻を残すところとなっています。
>>当ブログ内『サラバンド』関連記事
◆◇「2006年度新作公開映画ベスト20〜ダーリン/Oh-Well篇」
●『サラバンド』のデジタル・ハイヴィジョン映像についてのメモ
●●『父親たちの星条旗』(2006/イーストウッド)鑑賞メモ※本作のエンディング以降に触れています。
映画冒頭、夜の戦場を走る一人の兵士の足元が捉えられる。あちこちから「衛生兵!」の声が聞こえてくる中その足は止まり、彼の目は周囲を見回すも、助けを求める兵士たちの姿を見つけられず為す術も無く立ち尽くす。…
『父親たちの星条旗』[外部リンク]は、この冒頭に示された主人公ジョン・“ドク”・ブラッドリー(ライアン・フィリップ[外部リンク])の悪夢にある闇はもとより、硫黄島の黒い砂を想起させ、延いては、黒い砂の上に於ける兵士たちの死の集積としての闇を象徴するような、文字通り「戦場の闇」に繋がる黒味、くすんだ色調を観る者に印象付けて行く独自のフィルム・トーンの中に、主としては、衛生兵として硫黄島の戦いに従軍、参戦した主人公“ドク”を演じたライアン・フィリップによる印象深い眼差しを通してイーストウッドが見据えたもの、見据えようとしたものから為る画面に紡がれて行く…。
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この映画は、一か月間以上に及ぶ日本軍との激戦、消耗戦の末にアメリカ軍が硫黄島を占領するまでの過程をじっくりと再現描写することなどによって観客を引っ張って行くものでは無く、増してや、その戦いの果てにアメリカが硫黄島を制圧、占領した際の勝利の情景などが置かれることも無い。そう云った、戦場に於けるアメリカという国の栄光を星条旗と共に謳い上げるような映画では無いでしょう。
『父親たちの星条旗』という映画は、今日まで、写真や彫像などによって広く知られる、あの、硫黄島の戦いの最中(―1945年2月23日、アメリカ軍の硫黄島上陸から4日目)に於ける、主人公を含む6人の若きアメリカ兵による摺鉢山(すりばちやま)山頂での「アメリカ合衆国国旗掲揚(けいよう)」のイメージ自体と、そこにまつわる裏事情とでも云ったものを一つの求心力にしながら、
この写真が新聞一面に掲載されるやアメリカ中に大反響を呼んだがゆえに、その星条旗を立てた生き残りの一人であるがゆえに、国家によって“戦場の英雄”の一人として祀り上げられ莫大な戦費を調達するための戦時国債キャンペーンのシンボルとして利用し尽くされ暫(しばら)く国民にもてはやされるものの、晩年まで、映画の語り手ともなる息子ジェイムズ(トム・マッカーシー[外部リンク])に対してさえも硫黄島での戦いを一切語ることが無かったとされる主人公の存在自体こそが映画の最たる求心力になっていることを僕は感じ取れました。

主人公の息子ジェイムズは、父親が戦場に於いて、また、“英雄”として帰還した後のアメリカ戦時下に於いて為したもの、目の当たりにして来たものを当時を知る老人たちに取材しながら探し求めて行く。一方、主人公たる父親は、硫黄島から帰還後50年余りを経た最晩年まで硫黄島の戦場が悪夢として甦り、一番の戦友だった
“イギー”(ジェイミー・ベル[外部リンク])を夜戦の最中に守り切れなかったことへの自責の念に苦しみながらも、周囲には一切を語らぬまま遂に病床に臥(ふ)してしまう。
この父子の姿からは、人間、親子に於いて限り有る時間というもの、兵士に取って掛け替えの無いもの、父親に取って掛け替えの無いもの、親子というものの絆の在り処、親から子へ受け継がれて行くものの示唆を僕は感じ取れ、それは、鑑賞後にいよいよ重みを以って気づきと為って行くもののように、今、思えています。
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映画には、件の星条旗掲揚の写真と並んで僕ら観客の目を奪う写真がエンディング・クレジットに於いて多数示されて行く。
それらの内の多数を占める硫黄島の戦いに於ける一枚一枚の写真は、主に、主人公の脳裏に硫黄島を去った直後から晩年までフラッシュ・バックして来るものから広がり出す戦場の動的なイメージを眼差して来た後だからこそ、最早、単に、戦場で撮られた一枚の写真という固定されたイメージに収まるばかりではなく、そこに生々しさを以って加わって来るものがあるがゆえに、僕の目を奪って行くものだったように思い起こします。
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僕にとって、この132分を体験することで思いが及ぶところは取り留めのつかないものでもあるのですが、このすべての映画時間に於いて鑑賞後に尚忘れがたいイメージは二つに絞られもします。
一つは、主人公が息を引き取る前に息子に唯一話した硫黄島の話となる、星条旗を掲揚した摺鉢山から降りた後に体験したという「海水浴」の光景を示したシークェンス。その、主人公がしばらく佇む波打ち際から捉えられた若い兵士たちが海にたわむれる光景は、或いは、父と息子が一瞬にせよ共有し得た硫黄島の戦いの最中に於けるイメージだったようにも僕は思えます。
そう、この映画に総じて一貫する、くすんだ色調を持つ独自のフィルム・トーンは、視覚的にも心理的にもさまざまな意味合いで戦争の闇に繋がって行く余韻を僕に残して行くものだったのですが、唯一、この浜辺と若い兵士たちがたわむれる海にあっては天の祝福のもとにあるかのような目映い光が溢れている…。
このまばゆい美しさを湛えた海辺のイメージは、主人公が浜辺から海へと走って行くと俯瞰の映像に転じ、更にキャメラは何回か引き沖合いへとパン。そこには、当然の如しに一群のアメリカ軍艦船が映し出され、先述したエンディング・クレジットに繋がって行く…。
そして二つ目は、エンディング・クレジットの最後に示される、現在のものと見て取れる、摺鉢山の頂から見下ろした硫黄島の海岸と海を擁した映像。
嘗(かつ)ての戦いから最早60年以上。ここには今だに戦争の遺構や激戦の爪痕が残っていると見聞きもします。しかし、一見、そこからは、嘗ての激戦から癒やされ切った硫黄島の光景が風に吹かれて広がっているばかりのように感じ取れもしました。
【註】映画の主人公ジョン・“ドク”・ブラッドリーは1994年に逝去。
〔当ブログ内の関連記事〕
◆◇「2006年度新作公開映画ベスト20〜ダーリン/Oh-Well篇」
>>ポール・ハギス脚本、イーストウッド監督作品
■〔映画鑑賞メモVol.1〕『ミリオンダラー・ベイビー』(2004/クリント・イーストウッド)
>>ポール・ハギス脚本、監督作品
■〔映画雑談Vol.16〕第78回アカデミー賞(3月5日開催)を楽しむ!
その2・「映画鑑賞券争奪((^^)・アカデミー賞6部門4者最終予想、および、結果」篇
⇒◆含、『クラッシュ』(ポール・ハギス)鑑賞プチ・メモ
>>スピルバーグ監督作品
■〔映画鑑賞メモVol.9〕『ミュンヘン』(2005/スティーヴン・スピルバーグ)
■〔映画鑑賞メモVol.2〕『宇宙戦争』(2005/スティーヴン・スピルバーグ)
〔※本エントリーは、以下のサイトともリンク中〕
** 父親たちの星条旗@映画生活[外部リンク]
(※11月7日、11月11日、『父親たちの星条旗』に一部追記。)
●●『百年恋歌』(2005/ホウ・シャオシェン)鑑賞前メモ
さてさて、私、本日は『百年恋歌(2005/ホウ・シャオシェン)』〔◆IMDb[外部リンク]◆Movie Walker[外部リンク]◆公式サイト[外部リンク]〕を鑑賞予定です。
この映画は、僕に取っては、『珈琲時光』(2003)[外部リンク]以来の映画館でのホウ・シャオシェン[外部リンク]監督作品となる訳ですが、まずは何よりも、『ミレニアムマンボ』(2001)[外部リンク]以来のスー・チー[外部リンク]をヒロインに据えたホウ・シャオシェン映画として楽しみなところであります。

映画は、辛亥革命前夜、1960年代、そして、現在を舞台に置く三つの恋愛ドラマを、いずれも、
スー・チー、
チャン・チェン[外部リンク]の主役カップルでもって描くもののようですね。
僕は映画館で何回か本作の予告映像を観ているのですが、ヒロインの
スー・チーがとてもしっとりと艶っぽくスクリーン映えしていたように思い起こします。ともかく、とても楽しみなホウ・シャオシェンの新作映画であります!

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銀座シネスイッチ(※10月21日より上映中)
10:40/13:30/16:20/19:10〜21:40(終)
―尚、上映時間などは各自ご確認のほどを!
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それでは、今回はこの辺にて失礼を。
皆さんも、ご友人、恋人、ご家族と良き紅葉見物、映画見物^^等々を〜!
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