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梟通信〜ホンの戯言
ルワンダを知っていたか?フイリップ・ゴーレイヴィッチ著「ジエノサイドの丘(上下)](WAVE出版) 

ルワンダのジエノサイド、100日間で100万人のツチ族がフツ族に組織的に殺されたのが1994年。著者はその後95年から98年にかけてルワンダで執拗な取材を行いこの本を上梓した。貴重な・ひとりでも多くの人々が読む義務があるような本だ。映画「ホテル・ルワンダ」に登場するポールやその活躍も取り上げられている。

山刀を振りかざす隣人たちに家族が切り刻まれ・レイプされ・やっとの慈悲が生きたまま便壷に子供たちを放り込んでもらう(両手両足を順番に切られるよりまし)ことであるような陵辱・暴力にさらされて無力だったツチ族。戦争ではない。一方的な殺戮だった。周到に準備され(ツチ族の目の前で武器が集められ訓練がなされた)・普通のラジオで予告され・そそのかされた(「ゴキブリをころせ!ゴキブリに同情する裏切り者も殺せ!」)大虐殺は日本を含む国際社会から見殺しになる。むしろフランスやアメリカは国連軍を引き上げる。現地国連軍の責任者から詳細な報告(見通し)があっても当時の国連平和維持活動の責任者・後の事務総長アナンは手を打つことを拒否する。特に責任が重いのはアメリカだ。

この本で言いたいことはジエノサイドの酸鼻を極めたむごたらしさの告発だけではない。ジエノサイドがツチ族の反撃によりようやく一応の落ち着きを見せたあとの国際社会の非道な対応だ。今まで虐殺側に回っていたフツ族はフツ族至上主義者も含めて(見分け困難)周辺に逃げ出す。それがゴマなどの難民キャンプだ。多くのフツ族は難民ではない。殺人という犯罪を犯した逃亡者だ。しかし、国際社会はこの難民キャンプに援助の手を差し伸べる。一人当たり毎日一ドル分の援助(毎日百万ドル)、そのうち75パーセントが経費や業者のポケットに消え”難民”には25セントしかわたらない。それでも25セントは平均的ルワンダ人の収入の倍なのだ。すなわち人を殺し逃げて今もなおゲリラ的にツチ族襲撃の基地としてキャンプをつかっている人々に生き残ったツチ族よりマシな生活を保障する。もちろん日本もその一員。

ルワンダ共和国は早期にキャンプを閉鎖して難民(ルワンダ国民である)を戻すように要求する。国連・国際社会はそうしない。緒方という日本人はその頃の国連高等難民弁務官だったよね。97年の暮にオルブライトが98年3月にクリントンが「94年の残虐行為はジエノサイドと呼ぶべきであったし、その後の人道援助は武装キャンプを維持し、ジエノサイド殺人者を助ける為に利用されていたこと」を認めた。くどいけれど日本の金もそのように使われていたのだ。(しかし、オルブライトが演説する朝、300人のツチ族が「ゴキブリを殺せ」と斬り・殴り・撃ち殺されている。クリントン訪問の直前には50人が)。

これらのことはどれだけ大きく報道されただろうか?100万の虐殺自体について、ポールが救いを求めていることについて、間違った対応をしてそれをアメリカ大統領も認めていることについて。ゴミを片付けないおばさんのことを、毎日ああでもないこうでもないと報道し続けるメデイアはアフリカの残虐とわれわれの間違いについて何を教えてくれたのだろう?アメリカの方針に従った・今も従っている日本政府の責任は少しでも論議されただろうか?民主党は何か言ったのか?

多くの”文明国”の市民・良識ある人々はアフリカの人々に「いい加減に恨みを忘れ殺しあうことを辞め仲良く暮らしたらどうだ」といいたいのではないか?心の中でそう考えていないだろうか?
今、文明国日本でも毎日残虐な殺人が行われている。いたいけな子供を殺された親の多くは「殺人者をこの手で殺したいくらいだ」といわないだろうか。そういう親に向かって貴方は「いい加減に許してあげなさい」というだろうか?犯人に更生資金を与えて被害者に「行きがかりを捨ててともに暮らしなさい」というだろうか?
ルワンダでは妹や母がレイプされ切り刻まれるのを目撃した生き残りの者たちがそれをやった男と隣人として共同生活をこれからも続けることを要請されている。未だにいつ又襲われるか・現実にそこかしこで虐殺が再開されているのを知りながら。

ルワンダの大統領は極めて困難な道筋であるけれど、難民を受け入れ和解して生きていく国をつくろうとしている。その彼にして「国際社会の人々は我々ツチ族を人類の発展段階の違う民族とでも思っているのだろうか」と皮肉を言わざるを得ない状況だ。アフリカの人々の人間としての尊厳を否定している文明国家の”慈悲深き”人々!

救いはあるのだろうか?著者は極めて悲観的だ。
97年に150人のフツ族の殺人部隊が学校の寄宿寮を襲った。そのときそこにいた17人の少女をたたき起こし、フツ族とツチ族に別れるように命令した。子供たちは拒否した。結果・全員無差別に殺された。
著者はこう書く。
この勇敢なフツ族の少女たちからいくばしかの勇気をわけてもらうことはできないだろうか?生きることを選んでも良かったのに、あえてルワンダ人と名乗った少女たちから。


by saheizi-inokori
(2006/02/19 17:51)
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