スマトラ地震救援情報ブログ

【転載】OISCA海外駐在員便り
OISCAのメールマガジンに、タイの駐在員の方からのレポートがあり、
私が重要だと考えるいくつかのポイントに関し、リアリティと真摯な姿勢を感じました。
許可を頂きましたので転載します。
津波の前に、プーケットでマングローブの植林を行なっていたそうです。
-----以下引用-----
○海外駐在員たより Vol.8
タイ・プログラムコーディネーター 春日智実
〜津波とマングローブと、そこに生きている人々〜
本年もよろしくお願いします。
今年で3回目のタイでのクリスマスと正月を迎えた。タイの正月は年
越しそばも、餅も、おせちも紅白もない。あるのは年越しのカウントダ
ウンと花火くらいである。日本に比べたら盛り上がりに欠けるのだが、
今年は特に盛り上がらなかった。カウントダウンはあったものの、花火
の打ち上げはされなかった。
それも当然のこと、タイ国民は正月と言えども今年はお祭り気分では
なかった。ご存知、スマトラ沖地震の影響による津波の被害の余りの大
きさに、連日テレビは被災地の状況を報道し続けていた。私自身「おめ
でとう」とはなかなか心から言えない気分であり、新年の挨拶も中途半
端な冒頭のようなものになってしまった・・・。
タイにもご支援いただいているみなさんから、たくさんのお問い合わ
せをいただき、ご心配いただきましたみなさんに心からお礼を申し上げ
たい。
状況については、オイスカ関係者は全員無事、ラノーンの植林地も無
事、ただしプーケットについては植林地のマングローブは全滅であろう
と言われている。植林サイトの被害は大変残念なことではあるが、これ
だけの死者が出ている大惨事の中で、関係者の方々が生きていてくれた
ことだけでもありがたいと思う。
津波発生2日後、関係者ほぼ全員の無事が確認できていたものの、あ
と一人プーケットの関係者の無事が確認できずにいた。彼はオイスカの
スタッフではないが、マングローブ植林時にはまったくの無償で手伝い
に来てガイド役になってくれるオイスカOBで、普段から自宅を開放し、
近所の貧しい子どもたちに学習の場を提供している好人物である。
「無事ですか?どうかこのメールを見たら、連絡して欲しい。あなたと
ご家族の無事を祈っています」
電話がまったく通じず、政府も電話の使用を規制している状況で、発
生の翌日、祈るように送ったEメール。
その回答もなく、相変わらず電話も通じない。インターネットの被災
者リストにも名前が挙がってこない。彼の自宅は被害のもっとも大きか
った場所にあり、また客船で観光業を営む彼の仕事内容を考えても、観
光ハイシーズンでクリスマス直後の日曜日というの時期を考えても、絶
望的とも思えた。
津波発生5日後、携帯電話が鳴った。
「もしもし、わたしです」
彼からだった。安堵のあまり涙で言葉はつまり、ただ「よかった。無
事でよかった」そればかりを繰り返した。
津波発生の直前、岸に戻ってきた。大きな津波がやってくる前、潮が
大きく引いて魚たちが取り残されたという。他の船員たちが面白がって
眺めに行くのを、彼は引き止めた。
「危ないから、速く逃げて!」それでも面白がって船員たちは海岸に
残り、陸へ逃げた彼一人を残し、波は彼の仲間たちも、彼の事務所も、
船もすべてさらっていった。
「大変ですよ。本当に大変ですよ」家族以外のすべてを失い暗い声で
話す彼に、かける言葉もなかった。
今、被災地はショックから立ち上がろうと必死だ。別のプーケットの
オイスカOGからも先日電話をもらい話したところ、「実際はテレビの
報道以上にひどい状況」と言う。「私たちから何か手伝えることは?」
との問いに、彼女はこう答えた。
「ありがたいことに食料も衣類も、このあたりの被災地ではたくさん
集まってきて充分に足りている。今は彼ら自身の生活の建て直しが必要
で、それまで待って欲しい。彼らが落ち着いたときに子どもたちの学校
や教育を助けてあげて欲しい」
逆にあまり報道されていない小さな村では、今も少しづつ物資の援助
が続いている。
私たちは各地域で何が本当に必要とされているのか、それが今なのか、
それとももう少し後なのか、正確に見極めながら彼ら被災地の方々のお
手伝いをしてゆきたいと思っている。
みなさんから植林地の状況についてもたくさんのお問い合わせをいた
だいたが、詳細で正確な報告については、どうかもう少し待っていただ
きたいと思う。
なぜなら、私たちにとっては「ラノーン、プーケット=マングローブ
植林地」ではあるが、現場にとっては生活の地である。ラノーンも被害
は小さかったとはいえ、被害地への援助などに毎日関係者は忙しくして
いる。今、「マングローブはどうですか?」と訪ねるのは、現場にはあ
まりにも酷な話である。
「マングローブのことをすぐに報告できなくてごめんなさい。たくさ
んの人が死んでしまい、今も苦しんでいる人がいるときに、一人で楽し
かったあのビーチへ行く気持ちにはどうしてもなれないから・・・」
ある担当者は正直な気持ちを語ってくれた。みなさんに対して一刻も
早い報告義務をおっていながら、応えられないことは大変申し訳なく思
う。今は援助や片付けに忙しい彼らだが、もう少し現場が落ち着き、私
たち自身の訪問が負担にならない時期が来たら、バンコクから現場調査
に行きたいと思っている。
今はみなさんにお願いしたい。どうか被災地の方々のためにもご理解
いただき、もうしばらくお待ちいただけますようお願い申し上げます。
とはいえ、みなさんが資金協力してくださり、また時には実際に足を
運んで植えてくださったマングローブ植林地が被害にあっているとした
ら、とても残念なことである。オイスカタイの諸先輩方はこれまでの歴
史の中でも、幾度もの失敗を繰り返し、枯れては植えなおし、流されて
は植えるという作業を繰り返してきた。そしてようやく豊かな森を再生
することができた。
さらにまた、あの恐ろしい大波から人々や村をマングローブの森や海
岸沿いの木々が守ってくれたという。私たちはこれからも、人々の生活
を守るマングローブの森を再生する努力をしてゆきたいと思う。時に流
されても、全滅になっても。
たとえ皆さんのマングローブが流されたとしても、皆さんのご協力は
決して無駄ではなかったと思う。地道な努力を続けてこそ、報われるの
が植林なのだろう。
一日も早く、あの美しく平和なタイの海岸が戻るように、そして人々
の生活が波から守られるように、彼らの生活に平穏が訪れたとき、また
再び植林を続けたいと思う。
by tiscrivo
(2005/01/17 19:44)
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