東京のアート情報を発信 立川直樹責任編集"TOKYO ART PATROL"〜東京アートパトロール〜

ポートレートが放つ無限の想像力。〜「顔」-ジャクリーヌ・デヴルー展
ヨーロッパを中心に活躍中の若手から著名な現代美術作家まで、まだ日本で紹介されていない作品と作家を中心に、そして徐々にヨーロッパにまだ紹介されていない日本人作家の紹介をしようという思いを持って昨年9月に麻布十番にオープンしたギャラリー・ストレンガー。僕は不覚にもその存在を知らないでいたが、きょうは美術館とギャラリーを回ろうというふうにスケジュールを作って、世田谷美術館の<冒険王・横尾忠則>と県立神奈川近代文学館の<澁澤龍彦回顧展>を観た後に足を踏み入れたそこはそれこそ澁澤龍彦が生きていたら絶対に一文をしたためただろうと思える空間だった。
今回の作家はベルギーの女性画家、ジャクリーヌ・デヴルー。本国ベルギーを中心にドイツやオランダで展覧会を開催してきた彼女の日本初個展ということだが、1階と2階に展示された10数点の肖像画は素晴しく魅力的だ。「顔。絵の中、写真や映画での中や否かに関係なく、いつも私に強烈な印象を与え続けてきました」とステイトメントしているジャクリーヌのオリジナリティ。僕は短い時間だったが、一瞬のうちに彼女の作品の虜になってしまったが、その理由は彼女のステイトメントを読んでよくわかった。それは先の引用から続く。
「そして当然の流れの中、ポートレートというものを自分なりに研究するようになり、私自身のポートレートを写真に撮り始めました。それはある種、本質というものが創作上の設定と混合されています。
しかし、写真の性質と同様にその空間には限りがあるという点でとても苛立つようになってきました。私は写真をカットしたり、枠構成をし直したりして、新たに桁外れに大きな顔やポートレートを制作するようになり、試行錯誤するなか、遂に顔というその本質を枠の中に表現することに成功しました。
今もまだ写真を撮り続けているのは、ただ生きたモデルのポーズを瞬間で捕らえて保存するとその後の作業がしやすいという理由からです。言い換えれば、写真を撮ることにより、多くの自由が与えられ、私は完全に解放されて、大胆に、そして無限の想像力を生み出す次元へと導かれます。
その存在は内なるもの。私の中からそっと離れて、ポートレートの中で描きたいもの。それは光、視角、進化する空間によって引き起こされた物理的な変化なのかもしれません。それらを正確に捕らえ、描くことは不可能なのかもしれませんが、平面の中に、確実に押さえてみたいという私の探求心が刺激されて止まないのです。そういう意味で、ポートレートは自分自身を省みる場所になっているのかもしれません。」
<顔−VISAGES>と題された展覧会はジャクリーヌ・デヴルーという才女の、かくもユニークなコンセプトとアプローチのもとに成立している。美術館で開催される大型の展覧会とは一線を画す私空間を是非楽しんで欲しい。
(N.Tachikawa)
ギャラリー ストレンガー「『顔』 - ジャクリーヌ・デヴルー展」
2008年6月3日(火)- 7月4日(金)
http://www.gallery-strenger.jp/index.html[外部リンク]

Jacqueline DEVREUX "Kathy" 2008 oil on canvas 90x120cm

Jacqueline DEVREUX "Deux soeurs" 2008 oil on canvas 115 X 140 cm
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