滋賀県大津市・県体育文化館が存続の危機に 

年3万人利用 県警の武道場 県体育文化館存続ピンチ[外部リンク]
読売新聞:2008年4月12日
県警「新庁舎に併設で不要に」 県、財政厳しく管理困難
昭和初期に建築され、現在は県警の武道場として利用されている大津市京町の県体育文化館の存続が危ぶまれている。老朽化が進んでいるうえ、今年10月完成予定の県警新庁舎には武道場が併設され、不要になるからだ。しかし、地元の武道愛好家らからは「伝統ある建物で愛着も深い」と存続を望む声が上がっている。
県教委などによると文化館は、歌舞伎座(東京都)の建築に携わるなど大正〜昭和期に活躍した建築家・三井道男氏が設計。1937年、武道家らの寄付などで「武徳殿」として建設した。当時は県内唯一の武道館で、日本の伝統と西洋の技術を融合させた鉄骨建築として注目を集めた。
第2次大戦後、連合国軍総司令部(GHQ)が武道を禁止し、文化財などの展示に利用された。56年に県警の武道場となり、子どもたちを対象とした柔剣道教室など現在も年間約3万人が利用している。
しかし、近年は雨漏りが目立つなどし、県警は修繕に毎年約40万円を支出。今後も継続使用するには大規模な改修が不可避で、県警会計課は「庁舎が移転すれば不要になり、所有者の県に管理を任せざるを得ない。取り壊さずに存続させる方策があればいいのだが……」と頭を悩ませる。
一方、県は「財政的な問題もあり、管理を引き受けるのは難しいが、文化財的な価値は認識している。引き続き県警に管理してもらえれば」と期待。しかし、ある県関係者は「取り壊しを検討せざるを得なくなるのでは」と本音を漏らす。
これに対し、地元の武道団体は戸惑いを隠せない。
同館で週5回、柔道教室を開いている大津柔道協会の宮部博文会長(58)は「県内の武道は文化館から始まったと言える。文化館で練習できる子どもたちは幸せ。取り壊しの話が出れば反対運動も起きかねない」と危ぶむ。大津剣道協会の河村嘉彦会長(61)も「伝統や風格のある建物で、私たち武道家の誇り」と存続を願う。
県の近代化遺産総合調査で文化館を調べた京都工芸繊維大の石田潤一郎教授(近代建築史)は「外観を残しつつ修復、保存していけば、文化財的な価値や評価はさらに向上していく」と提言している。
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